スチームパンクの台頭はデジタル社会へのアンチテーゼなのか

今スチームパンクが熱い。スチームパンクの定義はなかなか難しいが、簡単に言うと産業革命時の蒸気機関が小型化した社会の世界観といえるかもしれない。ただそこから派生したアンティーク調な作品や国や時代感が非常に複雑なのでカテゴライズはほぼ無理だろう。有名なものに映画「海底二万マイル」のノーチラス号のデザインがある。ビスで溢れる潜水艦の表面、艦首のギザギザ感や内装デザインはスチームパンクの世界観をよくあらわしている。日本ではやはり大友克洋のSFアニメ映画「スチームボーイ(2004)」がその筆頭だろう。現在アニメやその他のメディアでその世界観を使った作品、商品がちまたでよく見かけるようになってきた。これはすでにサブカルチャーの領域を越えたといえるだろう。ではなぜ今人々はスチームパンクに魅了されるのだろうか?それは現在のデジタル社会に人々が本能的に拒否反応を起こし始めたからだ。今私たちの周りはシンプルで使いやすくかっこいいものであふれかえっている。しかし人は、複雑で使いにくくかっこうが悪い(これは異論があるだろう)ものを本能的に必要としている。そういうことに人々は気づき始めたのだ。バーチャルで軽い今の社会ではなく、リアルで重く汗臭いつまり生きている事が実感できる社会への渇望が今のスチームパンクの台頭へとつながっている。当然これが新しい社会観としてメジャーの文化になっていくのか、ただの一過性のブームで終わるのかは、後代になってみないとわからないが、ただ私たちは今一つの文化の胎動を目の前で目撃している事は確かである。GAVAERSパートナーのQUEさんはまさしくその胎動の渦中にいるアーティストなのでこれからも彼の作家活動を注視していきたい。ーGAVAERS/小谷倫一