地域ブランドの復興とアート作品の関係

「今治タオル」は、地域ブランドにおいて近年爆発的に復活した最たる例である。クリエイティブディレクター佐藤可士和がブランディングプロジェクトを推進したが、それはブランドマークやロゴデザインだけでなく、その品質基準を決め、それをクリアしない商品は「今治タオルブランド 認定商品」を名乗る事が出来ないというものだった。それは目に見える形で高品質を人々に伝え、今治タオルを持つ事の優越感を購入者に与えることになった。結果「今治タオル」は爆発的にヒットしたのである。

 

その後、多くの地域ブランドはこのスタイルに習いブランド復興を行っていったが、なかなかうまくいかないようである。ではなぜ他のブランドでは難しいのだろうか。それは根本的にアプローチの仕方が間違っているのである。言うなればタオルは工業製品でありすべてが同じである。しかしそのタオルを他の地域のタオルとの違いを見せなければならない時、「今治タオル」は統一基準を造る必要があったのである。つまり沢山ある今治タオル工場すべてからたった一つの高品質のタオルを作りそれが違いを産み出し、そして成功したのである。佐藤可士和が素晴らしかったのは、素敵なブランドマークや最高のロゴデザインをデザインしたことでなくこの基準をはっきりと内外に発信できたことにある。 他の地域ブランドも工業製品であるなら統一の基準をもってブランド化しなければならないだろう。

 

さてここで問題なのはこのアプローチは、アーティストや職人が大きく関わるブランドにはうまく行かないということだ。それはそうだろう彼らは自分が造るものを製品と見ていない、作品と見ているのである。それを統一の基準として縛るならそれはすでに個人の作品ではないのである。だから作品としての地域ブランドを復興する場合、そのアーティストや作家、職人にスポットをあてるしかない。当然これは非効率だ。工業製品のように大量生産もできなし、下手をすれば一点ものかもしれない。それでも違いがはっきりと示せる。大切なのはアーティストや作家、職人が自分の作品の統一基準を作りそれを内外に示す事なのだ、その作品を持つ事に購買者が優越感を持つ時に、この「個人的地域ブランド」は爆発的では無いにしても大きな復興の第一歩を進みだしたと言えるだろう。私たちが運営するGAVAERSもアーティスト一人一人の「個人的地域ブランド」をこれからも内外に発信するよう努力し続けて行きたい。GAVAERS/小谷倫一